1.
新型インフルエンザの國内感染が兵庫・大阪で拡がっている。私が暮らすのは京都だが、通う大学が大阪の豊中市と池田市の間という、もうズバリ感染ポイントに在るので、全学休校になってしまった。かく言う私も土曜日まで毎日通学していたので、既に感染しているかもしれない。このウェブログを介して感染が拡大することは無かろうからご安心されたいが、もし来週に更新がなされなかった場合は田中十三里はどこかに隔離されているものと思って戴きたい。 2. またまたラジオについて。十二日火曜日の朝、「ダ・ドゥー・ロン・ロン」が流れてきて驚く。調べてみると唄っているのはショーン・キャシディ(Shaun Cassidy)というアメリカ人。アイドル歌手だそうだけれども歌はしっかりしている。バンドではないがベイ・シティー・ローラーズを思い起こさせる。これは77年のアルバムに収録されており、元はクリスタルズのカバー。デビュー曲は、「モーニング・ガール」。 なるほどね(サマー・ファイア風)。 こちらもカバーなのか、それとも自分の持ち歌なのかは不明。いづれにしてもピンク・レディーのカバー曲が当時のポップス・シーンをかなり反映していたのだと改めて判り、面白い。 それから本日十八日月曜日は「ドント・ストップ」が流れた。フリートウッド・マックの原曲とはアレンジが違うので調べてみると、なんとエルトン・ジョンのカバー。 3. 遂に遂にの1980年。『愛・GIRI GIRI / 秘密のパラダイス』を聴いた。A面曲「愛・GIRI GIRI」は勿論既によく知っている曲ではあるが、聴いたのは久しぶり。初めて聴いたのは去年の夏だが、しばらくは私はこの曲が非常に嫌で、サウンドも私の好みとは全然違うし、歌詞の女性があまりに受動的なのも聴いていて痛ましい。それでも次第に慣れてきて、この度聴き返してみると、むしろ好きになっているくらいだった。それでもイントロには未だに馴染みきれない。 さてA面曲がそうしたわけで非常に暗い曲なんで、B面曲もどんなものやらと思っていたが、いやあ驚いた。「愛しのニューオリンズ」とは別の意味で驚きました。こんなに素直に明るい曲を80年のピンク・レディーに聴けるとは思っていなかった。嬉しい。前年までのピンク・レディーのハッピーな雰囲気を継いでいるようで、しかしどれとも違うような一曲である。 全体にミーちゃんの声の方が強調されているように聞えるが、気がかりなのは、ハーモニーの部分でケイちゃんの声が聴かれないことである。明らかに下のパートがミーちゃんの声なのだ。 ケイちゃんが唄っていないわけでは無いとすると、ということは、ひょっとして、上のパートをケイちゃんが唄っているのでは?という可能性が生じてきて、じっくり聴いてみると絶対に間違いとも言い切れないように思われる。前例も無いでは無いのだし。しかし自信も無い。二人の声に対する私の認識が浅いだけで、やっぱり下のパートはケイちゃんなのかも知れない。みなさんどう思われますか。 4. 上沼恵美子の『快傑えみちゃんねる』にケイちゃん出演。当然近畿地方でだけ放送されているものと思っていたので、観られない方が多いだろうからここでのケイちゃんの様子を詳細に記したら需要に応えることになるんじゃあないかと、考えていたのだが、驚くべきことにこの番組は全國放送なんですね。調べると上沼女史は紅白歌合戦の司会経験もあって、且つ高い視聴率を上げているという。私は上沼恵美子と言えばカンサイジンにとってのみの有名人とずっと思っていた。 普段は絶対に観ない番組だけれども、こればっかりは録画して観た(ケイちゃんは私が普段なら絶対に観ないような番組にばかり出演しているように思われる)。早送りを総動員しながらではあるが。 全國放送とは言えどもこの番組を見逃したという方はやはりあろうけれども、心配御無用。観なかったことによるファンとしての損失はほぼゼロであると請け負ってよい。本当に何ということも無い内容であった。上沼女史の、大阪女芸人のお手本のようなトーク(実際、上手いんだこれが)にケイちゃんが大いに笑っておられたのが、ファンとしては心和む光景でありましたが。 それにしても、スタジオ観覧者へのプレゼントが「飴ちゃん」というのは、いくら大阪の番組とは言え、凄まじいものがあるね。 流石に「何と言うことも無い内容であった」で片付けるのは心苦しいので、ここで問題。収録の日の、ケイちゃんの朝食は何だったでしょう? 番組を御覧になった方は勿論ご記憶ですね。答はこの記事の最後にて。 5. 金曜日、学内の図書館の雑誌コーナーをちらと見ると、歌人の穂村弘が表紙になってるんで『文藝』(2009年夏号)を立ち読む。谷川俊太郎との対談が面白いので大学生協にて購入。 その対談を読んでいると、穂村さんが次のようなことを語っていて私には激しく首肯されたのだった。 僕は詩には共感(シンパシー)と驚異(ワンダー)という二つの要素があると思っていて、いわゆる一般の読者や世間というのは圧倒的にシンパシー重視なんです。何かを読んだ時、まずそこに共感をみようとするし、シンパシーを寄せようとする。でも、詩歌の第一義的な力はワンダーのほうであると僕は思う(後略) これは歌謡曲を含めたポップ・ミュージックにもずばり当てはまることと思う。基本的にもてはやされるのはシンパシーに訴えかける楽曲ばかりである。そして、(話は常にここに繋がるのであるが)ピンク・レディーの凄さと素晴らしさと異質さの一端は、その作品群がシンパシーを全く度外視して、ワンダーの持つ力を最大限に具現化したものであり、それなのに凄まじい人気をも得た、という点にあると私は考える。「楽しくて笑ってしまう」作品は、「悲しくて泣いてしまう」作品に芸術的に劣るものでは無いのだとはっきり示したのが、ピンク・レディーの一連のヒット曲では無かったか(尤も、私はその「楽しさ」故に涙するのだけれど・・・)。 6. (お断り:本節の内容はピンク・レディーとは直接の関係は一切ありませんので、「それなら読む気はせんなあ」と思われる方はどうか容赦なく、ここはすっ飛ばして次にお進み下さい。でも、間接的には実に面白く関係している話です) ご存知の方も多かろうが、pinkの意味を英語辞書で調べると、色の意味のほかに、「左翼がかった」という意味もあるが(これが『Pink Lady & Jeff』でネタになっていたような気がする)、また植物の「ナデシコ」の意味もあると知れる。ナデシコは「撫子」に音が通うので古くは子供の比喩によく用いられたが、後「大和撫子」といって理想の女性像として形容されるのは周知の通りである。だからそれに女性を表すladyまでくっつくと、どうしてもpink ladyと大和撫子は相通ずるものと考えたくなる。 撫子、ないし大和撫子はいわゆる歌語でもあるので、和歌に多く詠まれてきた。それで、今夏開設予定のウェブサイトの名前のヒントにでもなればと萬葉集や八代集にある撫子を詠み込んだ歌を色々と見ていたら、とんでもないものを見つけてしまった。八代集の最後である新古今和歌集の雑歌の上巻に所収されている歌。 よそへつゝ見れど露だに慰まずいかにかすべきなでしこの花 詞書によるとこれは母親から愛息に対して詠まれた歌で、意味は「この撫子の花をお前と思って見てみるけれど、(いくら撫子とは言え自分の本当の息子とは較べようも無いのだから)露ほども慰められない。どうしたらいいだろうか」くらいであろう。露が撫子の縁語になっている。 さてこれのどこが「とんでもない」のかと言うと、歌自体はどうということは無い。問題は作者であって、この歌を詠んだのは 恵子女王 なのである。Pink Ladyと相通ずる(とファンなら考えたくなる)撫子の花を、なんとまあ恵子女王なる人が平安の昔に歌に詠んでいる!! ・・・ま、反応は人それぞれでしょうが、私は非常に興奮いたしました。ただ惜しむらくは、恵子をケイコと読むのはいわゆる重箱読みであるので、この時代の人名の読みには適用されない。ケイシ(またはサトコ)となる。しかしそんなことは「恵子女王」という字面のインパクトに較べれば大した問題とは言えない。美鶴代女王もあればいいんだけど、まづ期待できないなあ。 ともあれ、ピンク・レディー・ファンは誰しも暗誦すべき一首と言えよう。 (以下完全に余談)因みに恵子女王は花山(かざん)天皇の祖母にあたる。花山天皇については大鏡に有名な記述があって、それにより「藤原家に騙されて若くして出家させられた天皇」として知られる。天皇が出家あそばされたのが花山寺で、場所を移したがこれは現在の元慶寺にあたる。何を隠そう私の家から自転車五分の所にある寺であり(詣でたことは無いが)、私の通った中学校の名前は花山中学校といった。そんなわけで私は花山天皇の祖母であらせられた恵子女王にも一層の親しみを覚えるのである。 7. 引き続き、YouTUBEでのピンク・レディー関連動画が追い追いアップロードされており、チェックするだけでも一仕事である。嬉しい悲鳴と言おうか。 ここ数日に観た中で一番驚いたのが「マンデー・モナリザ・クラブ」のロング・バージョンで、これは非常に痺れる出来である。改めてこの曲の完成度の高さが知れる。 しかし「レア音源」として紹介されているが、まだ見ぬ『プラチナム・ボックス』にこの曲のロング・バージョンって収録されていなかったかしらと、アマゾンにて曲目を横目で見ると(他にどんな初収録楽曲があるのか予め知っておきたくないので、真っ当には見られない)、やはりディスク4にそれらしいものがあるようである。 YouTUBEでは音質がさほど良くないから、同じ音源であってほしいけれど、どうなのだろう。何しろまだシングルB面曲にも聴いていないものが何曲もあるし、銀箱にだけ収録されている曲もまだ聴いていないし、『プラチナム・ボックス』に手が届くのがいつになるやらまだ判らないのである。 亦、78年夏の後楽園の様子も多く再アップロードされていて、シングルB面メドレーなど、前に観たことはある筈だけれど、「ピンクの林檎」をコンサートで演っているというのがやけに新鮮に思われた。 前田憲男の労作傑作「ビートルズ・メドレー」に続いて、アルバム未収録の「ストップ! イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」が観られるのも嬉しい。『ジャンピング・サマー'78』、二枚組にすれば良かったのになあ。 歌謡大賞「サウスポー」の動画の隅に「70年代歌謡曲にヒミツ ピンク・レディー大解剖」とキャプションが付いているのが気になる。いかように「大解剖」されたのか。おそらく、例の半田健人さんのもの(これは本当に感動的なんだ)に繋がるのではないかと思われるが。 8. 4の答は、「おにぎり二つにシューマイ五つ」でした。 ではまた来週。手洗いうがい励行のこと。
by jusan13ri-glasses
| 2009-05-18 20:31
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プロフィール
田中十三里(たなか・じゅうさんり)。『ウォンテッド(指名手配)』発売のほぼ十年後に生る。ザ・ビートルズ、レッド・ツェッペリンなど、ロック音楽の大ファンであるが、2008年夏、「まるで交通事故に遭ったように」突如ピンク・レディーの魅力にとりつかれて、生活をピンクに染めつつ今に至る。
ウェブサイトもあります。 『ミラーズ・アンド・ライツ』 リンク(五十音順) DISCO 45・・・7インチ・シングル 発掘の旅 ピンク・レディーの風 Hello!PINKLADY 最新のトラックバック
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